ECR33タイプM★RB26スワップ
ACT3.
今回はせっかくのエンジンスワップということで、ボンネットを開けたくなるようなおめかしもちょっと・・・
ベースはすでに6年が経過してるため、アルミの配管などがややくたびれ気味。
このまま付けたんじゃちょっとがっかりですよね。(苦笑)
というわけで配管はオイルパンを洗浄したのと同じ洗浄液で洗浄。
これで気持ちよく付けられるとこまできれいになりました。
洗浄前と比べたらその差は歴然ですね。
ところでこのエンジン、およそ3年近く火が入ってません。
そんなエンジンって中身どうだと思いますか?ってことで、ヘッドカバーを外してみます。
わかります?
3年間一度もかけてないエンジンでも、ヘッドにはオイルが残っています。
始動時に、エンジン全体にオイルが回るまでは走らないなんてたまに聞きますが、
週末に使うだけなんて人。
大丈夫ですから。(笑)
ついでに暖気運転の話。
暖機運転はサーモが開ききるまでが理想です。アイドリングでやる必要は無いですけど全開は好ましくありません。
サーモが開いた瞬間が一番要注意なんです。
サーモが開くときには、エンジン内の水温は70℃とかそのくらい熱くなってるのに、
サーモが開いて、ほぼ外気温と同じ水温の冷却水が、エンジン内に流れ込んでくるわけです。
その冷えた冷却水に触れた部分は、突然ギュっと縮むわけ。
RB26だとヘッドはアルミでブロックは鋳鉄。
しかもブロックに比べて、やや剛性の落ちるヘッド。
当然温度による膨張率(収縮率)も違うので、ガスケットを挟んだ上下で微妙にズレが起きます。
こんな瞬間にブーストをかけると、ガス圧をシールしてるグロメットが剥がれることもあるわけです。
ヘッドとブロックの膨張率の違いなんて話が出たので、さらに余談。
ヘッドボルトの話。
ヘッドが温まって膨張しても、また冷えて収縮しても適正な締め付けトルクが得られるように、
ヘッドボルトはテンションボルトという伸び縮みするバネのようなボルトが使われています。
膨張率まで計算された弾性域が得られるように締め付けトルクは計算されています。
「ブースト2キロかけるから、ヘッドの締め付けトルクは2割増し」なんてお話にならないわけですよ。
わかってないSHOPやプライベーターがコレやってしまうと、
ボルトの弾性域を超えてボルトは伸びないので、どこかを破壊し始めます。
ボルトが折れるか、ヘッドのボルト座面を陥没させるか、ブロックが盛り上がるか。
ところが上下方向にだけ膨張するわけではなく、横方向にも膨張するので、
そうなるとどうなるかというと、RB26のお約束と言われた「ブロックにクラック」ってことになります。
理論的に考えて、RB26のブロッククラックの原因のほとんどは、組み付け不良です。
といったところで、本題に戻ります。
ヘッドカバーパッキンや、シールワッシャーも交換します。
上の画像に、使われていたワッシャーと新品のワッシャーを並べて撮ってみましたが、走行6万程度でも見る影無いですね。
カムジャーナルを切削したボーリング穴埋めのかまぼこ(タペットサーキュラー?)も交換です。
カムカバーのシールはきちんとはめ込んでおきます。
んでもって・・・
ジャーン!
「ちょっと奥さん、ニュルですよ!」(笑)
んなわけで、ヘッドカバーがピカピカのおニューな塗装になったので、バランスとって目立つ配管類も軽く磨いて・・・
軽くね、軽く磨いただけ。
う〜ん、美人なエンジンになったかな?
んで、RB26のヘッドってどうなんでしょ?
いっときますか?もうひとつ明日使える無駄知識?(笑)
2本のカムシャフトはそれぞれ別体のカムカバーでIN側・EX側と分かれています。
これは真ん中にダイレクトイグニッションを置きたかったからです。
正直、これは×ですね。
ダイレクトイグニッションを納めるために、このカムとカムの間は、左右をつなぐ補強が低くなってしまってます。
これがRB26のヘッド剛性の低さにつながってます。
また、このダイレクトイグニッション、発熱するので放熱させるためにある程度のスペースが必要で、
必然的にカムカバー内の容積が少なめになってしまってます。
これはブローバイの原因になります。
BNR34まで基本骨格を一切変えずに生産されたRB26ですが、
改良の余地はまだまだあるんですけどね。
バブルも去ったし、他の追従も無かったし、そのままだったのかな?
それではポートはどうか?
RB26はさすが、レースで勝つ目的で作られただけあって良い形状をしていますね。
あたしの場合は、単にストレートに近いから良いとか、そういう見方はしません。
バルブの中心線とポートの角度、4バルブの場合は分岐の位置など、
パワーを出すのに適しているかどうかが重要です。
基本設計でコレを外されてしまうと、チューニング(ポート研磨)では改善が厳しいですから。
RB26のポート研磨をする際は、それでもけっこう大胆に形状を変えます。
おかしな話かもしれませんが、参考にするのはちょいとした他社エンジン・・・4G63だったりします。(笑)
BNR32開発だけで終焉を迎えたRB26エンジンですが、
4G63は、ランエボという宿主を得て、常にそれこそ「レース(ラリー)に勝つ」進化をしてきました。
今回ポートはいじってませんし、またこんな公の場で「こんな風にポート研磨します」なんて公開はしませんが、
興味があったら4G63のポートの変化を調べてみるのも良いですよ。
また「ストレート、ストレート」なんてポートを掘ってると、案外効率を落としてる可能性もあります。
ポートは、バルブや燃焼室形状にまで関係します。
ポートを通った空気は、燃焼室へ入るときは排水口のような穴に入るのではなく、開いたバルブの隙間から燃焼室へ入るわけです。
ですから自分にとって理想のカタチを望むなら、流体力学を学ぶか、いろんなポートを掘って試してみましょうね。
もちろん、すべては「いじる人の考え方」です。
でも、限りなく正解に近いものはあると思います。
ポート内壁を磨いて「ポート研磨」などと言ってるうちが幸せなのかもしれないですね。。。
あ〜、RB26、いじって楽しい。
OH依頼、お待ちしてます。(笑)
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